オーストリア生まれの全自動チューンナップマシン「Jupiter-X」は、世界のトップレーサーの滑走を支える最新テクノロジーだ。人の手では不可能な精度でスキーを仕上げ、滑りを次のレベルへと導く。その実力ぶりはいかに?

オーストリア・ウィンターシュタイガー社が開発した全自動チューンナップマシン「Jupiter-X」。滑走面研磨、エッジ調整、ストラクチャー加工、ワクシング、仕上げまで、職人なら数時間かかる作業を1時間に最大70ペアという驚異の速さで仕上げる。
アルペンスキー界の王者マルセル・ヒルシャーのプロデュースしたブランド「VAN DEER-Red Bull Sports」のスキーはすべてこのマシンで仕上げられている。契約選手ヘンリック・クリストファーセンも愛用し、W-CUPシーンで数々の勝利を収めてきた。
世界のトップアスリートやレーシングチームが注目する背景には「Vエッジ」という革新技術がある。これは、スキーのトップ、センター、テールの各部分でエッジ角を自在に変え、0.1°単位で微調整が可能という驚きの機能。

アルペンスキーでは、トップ、センター、テールの各部位のエッジ角度を調整するのはスタンダードな手入れだ。スキーのセンターは硬い人工雪や氷での確実なグリップ力を必要とするが、トップとテールは、また違った適正な角度になることで、ターン時のコントロールや動作がしやすくなる。
シャープなカービングはも ちろんのこと、スキーがズラしやすくもなり、 様々な地形をスムーズに滑ることができるようになるというわけだ。
Jupiter-Xは、手仕上げではどうしても残ってしまう微細な凹凸を排除し、なめらかさと純粋なグリップ、さらに摩擦低減によるパワー節約まで実現する。この自在なエッジ角の調整で滑りが激的に変化し、グレードアップするのだ。
FISアルペンワールドカップに88戦出場した日本女子最強レーサーであり、スタッフの長谷川絵美さんはVエッジをこう語った。

「エッジが立ちすぎていると 雪面に噛みすぎてブレーキ動 作につながります。角度を少し甘くすることで、カービング やズラしを問わず、最適なエッ ジグリップと操作性をもたらしてくれます。
機械によって個々の滑りにあった正確なエッジ角が出せるので、 競技者だけでなく、多くの人がこの恩恵を受けられるはずです」
今後は「3Dストラクチャー」というアップデートも予定され、部位ごとの深さ調整が可能になるという。
本来はトップ選手用にメーカー工場にのみ導入されるマシンが、ゼブラでは一般開放されている。短時間で完璧な仕上がり、しかも職人依頼より手頃と、まるで魔法のようだ。ぜひあなたも試してみては?
◆メニュー
ジュピターXの作業内容は大きく分けて2つ。エッジ加工(トリムカット、サイドエッジ、ベースエッジ、仕上げ)と滑走面作業(ソールリペア、クリーンアップ、ストーン研磨、ストラクチャー)の8つの工程を用途に応じて組み合わせた8種類のセットメニューがある。
◆料金例
SKI スタンダード:10,000円
SNOWBOARD スタンダード:10,000円
コンペティション 3Dストラクチャー:19,200円
コンペティション Vエッジ:18,800円
※ Xraeb book「And Snow Vol.4」(2025)より抜粋・一部再編集